目次
大雲取越
さて、いよいよスタートしていきます。
まずは『雲取越え』の前半戦、全長約14キロ、熊野古道最大の難所と呼ばれる『大雲取越』を走破していきましょう。
入口
そんな肝心の出だしですが、気を付けていただきたいのが、意外と大雲取越の入り口は分からないところにあります。
私も最初どこにあるのか分からず、小さな寺院の階段を登ってしまいましたからね。
一応地図にも書いてありますが、正確には小さな寺院の階段のちょっと先、駐車場手前のトイレの手前にある、一見獣道そうな階段を登っていくのが正解です。
因みに、最初の登出しの雰囲気はこんな感じの場所です。
多分、初めて登る方や全く熊野古道の知識を入れていない方だと、もっと雰囲気のいい場所だと思って「えっ…」となってしまうことでしょう。
私ももっと雰囲気のいい場所だと思って登り始めたものですから、本当にこの道であっているのかと不安になり、スマホに事前に入れていた上記のマップを確認しながら登っていました。
なので、皆さんが登る際はギャップに騙されないようにご注意くださいね。
そんな感じで、ギャップを感じながらもひたすら登っていきます。
しかし、登れど登れどずっと同じような景色が続きます。
先ほども言った通り、私はもう少しいい景色を想像していたので、まさか獣道のような道を永遠と登ることになろうとは想像もしていませんでした。
そのため、イヤホンから曲を流しておりましたが、それでも異様に時間が無駄に長く感じます。
とは言え、まだまだ始まったばかりですから、ここでめげるわけにはいきません。
那智高原公園 ~那智高原公園から熊野古道への注意点~
そして、登ること約10分、時刻にして7:45。
ようやく平地である『那智高原公園』へとたどり着きます。
ただ、マップで確認してみると、距離としては出発地点から約700mほどしか進んでおりません。
まさかの1キロにも満たっていないのです。
しかし、そうは言ってもこの時点で汗はだくだく。
上下長袖のジャージ姿でございましたが、流石に暑くて上だけ脱ぐことにしました。
それだけこのコースの登りは辛いのです。
近くの標識には、来た道を指して「那智の滝」なんて書いてあるものですから、正直「辞めたい」という気持ちも湧き上がってきましたが、ここで諦めるほど軟ではありません。
私はさらに奥へと歩みを進めます。
すると、公園内にもまたしても階段があり、再び登り始めることとなりました。
とは言え、そこはやはり公園です。
先ほどの石の階段とは大違いで、すぐ上階へとたどり着き、駐車場のような平地へとたどり着きました。
ただ、平地に着いたはいいものの、どうも道が分かりません。
駐車場らしき場所を出ると、目の前は十字路のようになった道路。
マップを確認するもイマイチピンときません。
見るからに、左でも真っすぐでもなく、右に進むというのは予測がつくのですが、今まで山道だった分、ここから道路というのは不自然ですし、何より、マップも道路を指しているようには見えません。
私はどこに進めばいいのか分からず途方に暮れていました。
すると、目の前の原っぱで作業していたお兄さんが声をかけてくれました。
「熊野古道の散策かい?」
私が「はい」と答えると、お兄さんは「そこだよ」と教えてくれました。
実は、お兄さんが作業していた原っぱの奥の方にもう1つ道があったのです。
よくよく見てみると、そこには「熊野古道」と書いてある標識が立っておりました。
私はお兄さんにお礼をして、再び歩みを進めました。
当然、その先に待ち受けるは上り坂でした。
この地点では約1.5キロ、時刻にして7:55ごろ、スタートから約20分の経過です。
さらに歩みを進めること約10分。
スタートから30分後の8:05ごろには、次は登りから下りへと変わりました。
写真を見て分かる通り、決して急な下りというわけではなく緩やかな下りです。
さらにその数分後には平地へと変わりました。
まさしく獣道といったところです。
ここから平坦な道がしばらく続くと思いましたが、当然のように再び登り坂が訪れました。
登立茶屋跡
そうしてスタートから約40分後の8:15、距離にして約2.7キロ地点。
『登立茶屋跡』に到着しました。
跡地なのでほとんど何もないですが、石の塀だけが何となく残っておりました。
ただ、もちろんここで止まってなどいられません。
写真を撮ったらすぐ出発します。
もう当たり前のようになりましたが、この先々も登り坂が続きます。
舟見茶屋跡
登り続けること約30分、時刻は8:45ごろ。
距離にして約4.2キロ、スタートからは約1時間10分が経過した辺りで『舟見茶屋跡』に到着です。
とは言っても、何もありませんでしたので、看板だけの撮影になりました。
ということで、何とか残り約10キロを切りました。
1時間程度で約3分の1というと、なかなか悪くないペース配分です。
そう考えると、何だか気が楽になり、少し心に余裕を持つことができました。
そんな心持で再び平坦な道を行ったり、登ったりを繰り返すと、今度は下りの道に突入です。
色川辻
この下り坂をずっと下っていくと、『舟見茶屋跡』から約15分で『色川辻』に出ます。
この時点で距離は5.5キロ、時刻は9:00ごろです。
因みに、ここで一旦道路と合流しますが、道路を向かって左に少し進むと、右手に再び山道に入る道があるので、標識に沿ってそちらに進んでいく形となります。
そして、その道を入ると先ほどと同じような道のりが続きます。
正直、一旦道路に出て、再度山道に戻るので、心が折れかけるような感じもしました。
そうして再び進んでいくと、お地蔵様がいらっしゃいました。
お地蔵に一礼して、この旅を無事に切り抜けられるようにとお願いしておきました。
この時点で結構疲れも溜まっていまして、神頼みでもしていないと辛くなってくるんですよね。
しかし、神様はむしろ私に対する試練を要求してきます。
と言うのも、なぜかこの100メートル先くらいから地面がぬかるんでおりました。
さらにぬかるんで湿気も多いせいか、他の所よりも苔が成長しており、滑って歩きずらいのです。
というより、もはや危うく転びそうになりました。
皆さんも行くときは気を付けてくださいね。
そんな危険地帯も通り過ぎると、何とも神秘的な光景が広がります。
色鮮やかに成長した苔が纏わりついた比較的大きい岩が、そこら辺に転がっているのです。
なぜこんなことになっているのかは分かりませんが、何とも不思議で少し興奮してしまいました。
疲れていたはずの心も、この珍事のおかげで少し明るくなりました。
因みに、先ほどの道がぬかるんでいた理由が何となく分かりまして、なんとこの場所の横には川が流れていたのです。
これがどこからか溢れて、先ほどの道に影響を及ぼしたのではないかと思います。
だとすると、ここの苔が発達しているのも、この川のおかげなのかもしれませんね。
そんなことはともかくとして、先に進んでいきましょう。
まあ、特段変わらない風景が続くだけにはなりますがね。
途中、橋のようなものもありました。
道路との合流
そんなこんなで『色川辻』から約25分後、時刻は9:25。
距離にして約6.7キロ地点で普通の道路と合流します。
しかも、先ほどのような”一瞬道路に出る”というものではなく、がっつり道路を歩いていくことになります。
久しぶりに平坦な道を歩ける喜びがありつつも、ここまで山道だったために本当にこの道で合っているのかと心配になっている自分がいました。
しかし、ご安心ください。
間違いなどではなく、正真正銘この道で合っています。
実は、ここからこの道路を真っすぐ約1.5キロほど進んでいくことになります。
あまりの長さに私も不安になっていましたが、間違っていないので、皆さんは心配なさらずに。
因みに、この道路は結構な下り坂になっていて何気に疲れてきます。
さらに言うなら、淡々とした道を約1.5キロも歩いていると、今までの辛さとは打って変わって楽なため、歩くことに何気に飽きてきます。
何とも贅沢な悩みですがね…。
地蔵茶屋跡
さて、普通の道路を歩き続けること約15分。
うだうだ言いながらも何とか『地蔵茶屋跡』に到着いたしました。
時刻は9:40、歩き始めてから約2時間経過です。
ということで、距離の方は約8.2キロでございます。
まさかの約14キロの大雲取越の半分は既に過ぎておりました!
だからでしょうか。
写真を見て分かる通り、大々的に休憩スペースやトイレが設けられております。
とは言っても、私は休むことはしません。
ペース的にも”2時間で8キロ制覇”と非常にイイ感じではありますが、後先何があるか分かりませんし、ここで休んで乳酸が溜まってしまうのはあまり好ましくありません。
ということで、ここの休憩所はパスして、サクサク前へ進んで行きます。
少し進んで辺りを見渡してみると、小さなお社が立っておりました。
あと残り半分、しっかりと歩ききれるようにお祈りしておきました。
【注意】迂回路
しかし、ここでトラブルが発生いたしました。
本来、先ほど歩いてきた道路を少し進むと前には道路、右手にお社、左手を見ると「熊野古道」と書かれた標識が立っているはずなのです。
まあ『本来』なんて前置きをしてますが、もちろん、それが突然にして消えたというわけではなく、そこには本来通りの道路、お社、標識の姿はありました。
しかし、それは”ただそこにあるだけ”であって、状態としては最悪です。
なんと、標識の先には「この先崩落のため通行止め」という看板とロープが張られていたのです。
そして、その隣にはもう1つの看板がありました。
その看板は標識の左側を指して「迂回路」と書いてあるのです。
私は唖然としながらも標識の指す方向を見てみると、先ほど歩いてきた道路に沿うようにして上へと延びる山道がそこにはありました。
『山道』とは言いますが、先ほどまでの山道とは雰囲気がまるで違う道です。
私は「本当にこの道で合っているのか?」「本当は真っすぐ行った道路の方が正解なのでは?」「はたまたお社の方に実は道があるのでは?」などと疑問で頭がいっぱいになりました。
ただ、道路の方には「ここは熊野古道ではありません」と看板が立てられ、お社の方にも道という道はありませんし、もちろん、本来行くべき道であろう道はどうにも通れる様子はありません。
つまりは、行く道はその道1つしかないのです。
それでも自信のない私は一応マップを確認し始めます。
実を言うと、迂回路の存在自体はマップに載っていることは知っていました。
ただ、ここに実際にくる前は「迂回路は使わなくても大丈夫だろう」などと高を括っていたのです。
なので、迂回路の場所についてはよく確認しておりませんでした。
そうしてマップを確認する私ですが、マップがあまりに大雑把な故、残念ながらあてにはなりませんでした。
私は決断を迫られました。
この詳細不明な道を行くか、あるいは行かないか。
ここで間違った選択をすれば時間に間に合わないだけでなく、下手すると迷う可能性があります。
それを考えると本当の意味での”決死の覚悟”です。
そして、悩み始めて約5分。
ついに私は覚悟を決め、詳細不明な道を進むことに決めました。
そうして覚悟を決めた私は、内心本当にドキドキしながら前へ前へと進んでいきます。
因みに、迂回路に入ってすぐ右手の林にはロープと看板があり、そこには「ここから迂回路」「ロープをくぐってお通りください」などと書いてありますが、それはフェイクですので、気にせず前へと進んでください。
私もそのフェイクに悩まされましたが、流石に林に入っていくのはおかしいと思い、真っ直ぐ進みました。
そうしてドギマギしながら歩くこと約20分。
マップで現在地を確認しようにも大雑把なマップからは想定できず、いつまで歩き続ければたどり着くのかと悪態をついていた頃です。
不安ながら歩いた道はどうやら正解だったようで、何とか今まで通ってきた山道のような道に出てきました。
もう長いこと歩いて洗脳されているのか、この手の道に出ると安堵する体になってました。
また少し歩いていると、再び苔が急成長を遂げた岩たちと出会います。
先ほどよりもゴロゴロと岩が落ちていたので、正直何事かと思いましたね。
それにしても、この迂回路は本当に長いものです。
マップによると、この迂回路は約3キロにも及ぶそうで、通常通り歩いても約30分は掛かる道です。
さらに言えば、先ほども言った通り、この道は本当にどこを歩いているのか読めません。
それを思うと、正直悪態の1つや2つついてもおかしくはないような気もしてきます。
因みに、ここまで約10キロ弱歩いてきましたが、すれ違った人はいません。
そのこともあって大分気が緩んでいた私は、悪態をつかないようにと大声で歌い始めました。
大自然の中ですから、それはそれは気持ちの良いものです。
しかし、神様というのは見ているものですね。
これまですれ違ってこなかったのにも関わらず、ここに来て前方から人がやってきました。
それも歌うことが気持ち良すぎて、相手から「こんにちは」と声を掛けられるまで人が来ていることに気付きませんでした。
そうなってくれば、確実に私の歌声が聞こえていたことでしょう。
私は恥ずかしくなって、前方の人に「こんにちは」と返し、そそくさと歩いていきました。
いやはやお恥ずかしものです。
そんなハプニングもあった迂回路も終盤。
「注意!」などという看板が立てられた、見るからに危険そうな腐った木の橋がありました。
私は恐怖を感じながらも、渡るほかないので何とか渡っていきました。
それにしても、本当にこの時は怖かったですね。
突き抜けはしませんでしたが、少し撓んだ状態になり、本当に落ちるんじゃないかと思いました。
熊野古道へ合流
そんな危険な橋も乗り越えて、迂回路に入ってから約30分、時刻は10:15。
何とか迂回路を抜けて、合流地点へとたどり着きました。
距離などが確認できない分、迂回路は本当に精神的にきつかったです。
その道もここで終わりかと思うと少し気が楽になってきます。
ということで、迂回路前の距離数が約8.5キロ、迂回路で約3キロ、合計11.5キロ進んでまいりまして、残すところ約5.5キロとなりました。
スタートしてからここまでの時間が約2時間40分で、ペースとしては1キロあたり14分と、かなりいいペースで進んでいます。
まあ。よくよく考えてみると、14キロのはずのコースが迂回路を挟んだため、結果的に約17キロのコースとなってしまいましたが、残りも3分の1ですから、気にせず先に進んでいきましょう。
少し歩いていくと、何方かの俳句が1つ読まれていました。
正直、意味は分かりません。
因みにマップを見てみると、この先の道にはこのような俳句が至る所に設置されているようです。
これを見ながら登るのも楽しみの1つかもしれませんね。
越前峠~登り~
さて、迂回路突破から約5分後の10:20。
残り5キロだという安堵もつかの間、ここから地獄が始まります。
最初の地獄は登り坂。
『登り坂』とは言っても、先ほどまでの登り坂とは訳が違います。
ここの登り坂はあまりにも急なのです。
私自身、ここまで幾度となく登ってきた登り坂ですから「もう慣れた」と思っていましたが、ここまでの坂が嘘みたいにきついのです。
写真では中々伝わりにくいかもしれませんが、本当に本当に急なのです。
しかも、登れど登れど終わりが全く見えません。
そのため、「いつまでこの登りが続くのか」と精神的にもきつくなってきます。
しかし、マップでも分かる通り、距離としてはそこまであるわけではありません。
もちろん、坂が急であるということは、横に進んでいるわけではなく、縦に進んでいるわけですから、距離が伸びないのも当然と言えば当然です。
ただ、いちランナーとしては、歩けど歩けどたどり着かない、距離が進んでいないというのは、やはり屈辱的な話で、その事実が余計に精神を蝕みます。
そんな精神的にくる急な登り坂でしたが、今までの登り坂の経験を活かして諦めず登っていきます。
自身に「ファイト!」「あと少し!」「踏ん張れ!」と声を荒げながらも必死に登ります。
途中、人とすれ違いましたが、先ほどのように我に返っている暇などありません。
「こんにちは」とだけ返し、そこからも自分自身にエールを贈り続けます。
そうして登ること約10分、時刻は10:30。
汗だくだくの状態でようやく平坦な道へと出てきました。
そこには、先ほどのような俳句と1枚の看板が立っていました。
相変わらず俳句の意味は分かりませんでしたが、看板を見てみると「越前峠」の文字がありました。
疲れすぎてブレブレになってしまいましたが、ここは世界遺産に登録されているようです。
しかして、そこには衝撃の事実が書かれていました。
『標高870mのこの場所は中辺路の中でも最高所となり、この先の小口までの標高差は約800mある。ここから小口まではその標高差を一気に下らなくてはならず、雲取越えの最大の難所である。』
つまるところ、ここから先は今以上の地獄になるということです。
私はその事実に絶句しました。
ただ、こんなところで立ち止まっていても仕方がありません。
私はここまでのことを思い出し、何とか乗り切ることを決意しました。
それにしても、この看板を見たら先ほどの坂が急だったのも頷けますね。
『標高870』と言うと、私の地元・茨城県が誇る「筑波山」と同じくらいの標高ですから、坂が急になっても当然な気がします。
越前峠~下り~
そんなことを思いながら、しばらく登りで疲れた体を平坦な道で回復させていると、時刻は10:35、とうとう最大の難所とされる下り坂が見えてきました。
見るからにキツそうな急な下り坂です。
私はこの坂を前に意を決して前へ進みました。
一歩一歩慎重に下っていきます。
ただ、やはり最大の難所というだけあって、見た目通り、聞いた通りのキツさです。
『山は登りより下りの方がキツイ』と言いますが、本当にその通りだと実感します。
今までの疲れが蓄積している分、足が上手く前に出ないのです。
しかも、地球には重力というものがあって、それが登りは踏ん張って登る力に変わりますが、下りの場合だと下りの勢いをつける力に変わります。
しかし、その力に身を委ねて下ってしまえば、勢いがつき過ぎて、こけてケガする恐れがあります。
そのため、その力を制御しながら下るしかなく、その分の体力を無駄に消費します。
今までの疲れで消費された体力を、さらに重力を制御することで消費することになるわけです。
そうして体力が限界に近づいた時、足は上がらずにもつれ始め、小さな岩にも躓きそうになり、苔で滑りそうになってくるのです。
さらに、重力が余計にかかっている分、足への体重の乗り方は登っている時よりも重くなっており、岩のごつごつ感がまるで足つぼマッサージかのような痛さへ変わっていきます。
下り坂の負のスパイラルが止まりません。
下り始めて約10分。
まだまだ下り坂は続きます。
マップでは全長約2キロの道のりのはずですが、この時点ですでにその倍は歩いているような気がします。
顔もすでに死んでおり、音楽を聴く気力さえ残っていません。
この坂を下り始めて何度「辞めたい」と思ったでしょう。
それでもここまで来たからには走破したい。
そんなランナー魂という根性だけが、私を歩かすたった1つの意義でした。
私は「こんな道を開拓した昔の人々は頭がおかしい」などと悪態をつきながら歩き続けました。
それにしても、なんという仕打ちなのでしょう。
ここまで約13キロに渡って歩いてきた体にここまで急な下り坂を要求するとは。
私は「神様というのは非常に意地悪だな」と神様をも恨み始めました。
そうして歩いていると、何だか急に手足がしびれ始めてきました。
酸欠、脱水症状の表れです。
山の中は標高が高い故に酸素が薄く、さらに歩いている分、余計に酸素を取り込みにくくなります。
また、登ったり下ったり、激しい運動をすれば汗となって水分が体から出ていきます。
そのため、適度な休憩、適度な水分補給が必要になります。
私自身、休憩はともかく、水分補給は所々で取っていました。
でも、それはあくまで”取っていたつもり”なだけであって、十分には取れていなかったようです。
私はそれを気合で乗り切ろうとも思い、当分ペースを落として歩いていましたが、とうとう足が止まり、その場でへたり込んでしましました。
それだけこの下りは辛かったのです。
私はたった十数キロでへたり込んでしまう自分の情けなさに絶望しました。
もちろん、絶望してもどうしようもないことは自分でもよく分かっています。
それでも、いちランナーとしてそんな自分が悔しかったのです。
でも、だからこそ、私は諦めきれませんでした。
私はゆっくり深呼吸をした後、残っている水をできるだけ飲み、まだ万全とは言えない体をどうにかして立ち上がらせると、再び歩みを進めました。
残りあと数キロ。
ここで再び気合を入れ直し、再スタートを切りました。
登り坂の時のように「ファイト!」と自信を鼓舞し、昔の人々や神様を恨む力を歩く力へ変え、どのにかこうにか歩みを進めていきます。
それにしても、休憩や水分補給はやはりしっかりと取った方がいいですね。
皆さんは絶対に水分補給、休憩を取ってくださいね。
「経験者は語る」ですからね。
そうして下ること約20分、時刻は11:05。
俳句がまた1つ立てられていました。
よく見ると『下りの道は 心たのしい』と書いてあります。
正直、目を疑いましたね。
こんな険しい下り坂、楽しいわけないですよ。
やはり私の予測通り、昔の人々は少し頭がおかしいのだと確信しました。
そんなこんなで俳句を過ぎて少しすると、ようやく下り坂を抜けることができました。
しかし、そんなことにかまけている暇は、この時の私にはありませんでした。
とにかく一刻も早くゴールしたい。
そんなことで頭が占領させています。
下りを抜けてから約5分後、時刻にして11:10でようやく小口の文字が見えました。
標識には「2.5km」の文字が見えます。
あとはもう気合で乗り切るしかありません。
私は「よっしゃ!ファイト!」とさらに自身を鼓舞し、歩みを進めていきます。
楠ノ久保旅籠跡
その2分後、再び世界遺産が現れます。
時刻にして11:12、スタートから約3時間40分で『楠ノ久保旅籠跡』に到着です。
これまたどれが世界遺産だか分かりませんでしたが、余計なことは考えている暇はありません。
とにかく進んでいきましょう。
そのさらに8分後、11:20には休憩所が設けられていました。
因みに、その奥に俳句も立てられております。
なぜここに来て「鯉のぼり」なのかは不明です。
さらに足を動かすこと約10分、時間にして11:30で残り約1.5キロのところまできました。
ここからダッシュで向かえば5分とかからない位置にゴールがあります。
そう考えると歩みを進めずにはいられません。
円座石
残り1.5キロの位置から歩くこと約5分、11:35のところで『円座石』に到着です。
本当はこれを見たくて来たのですが、正直、この時点では疲れの方が勝っていて、これを見たかったことも、そしてこの目の前に紋章があることも全て忘れていました。
なので、上のような写真になってしまっていますが、本当は後ろに大きな岩の壁が映るような形になるはずでした。
まあ、それだけ辛かったということです。
しかし、そんな辛い道のりもあと1キロでゴールとなります。
私は本当は見たかったはずの場所をそそくさと後にしました。
ゴール
そして、その約10分後、時刻は11:45、ようやく熊野古道の出口が見えました。
思い起こせば長い道のりでしたが、ようやく『大雲取越』も終わりを迎えようとしています。
熊野古道を抜けると、民家の細い裏路地のようなところに出ます。
正直、本当にこんなところを通っていいのかと思いましたが、マップにはここを抜けるように書いてありますから、大丈夫だよなぁと心配しながら静かに通っていきます。
その後、道に沿って真っすぐ歩いていくと、普通の道路に出ることができました。
マップではここまでの道のりしか書いていなかったので、後はグーグル先生に頼んでゴールである「小口自然の家」まで歩いていきます。
そして、ついにこの時がやってきました。
とうとう『大雲取越』のゴール「小口自然の家」に着きました。
ゴールは昼12:00ジャスト、スタートから約4時間30分で17キロを走破しました。
ペースに換算すると、1キロあたり約15分という計算になります。
まあまあなペースと言ったところでしょうか。
ともかく、何とか最大の難所と言われる『越前峠』を乗り越え、『大雲取越』を走破することができたわけです。
正直、この時点で疲れすぎて、『小雲取越』をやりたい気持ちなど微塵もありませんが、ここまでやってきたわけですから、ここは1つ気合を入れていきましょう!
…とその前に、「腹が減っては戦はできぬ」と言いますから、ここで軽食を取っていきます。
今回の軽食は、カロリーメイト(ハーフタイプ)とウィダーインゼリーです。
おにぎりとかも考えましたが、食べ過ぎてもここから先がキツくなりますから、本当に軽めなものを選びました。
ついでに、2本持ってきていた500のペットボトルもすっからかんなので、自販機で買い足しておきましょう。
『大雲取越』の時点で2本飲み切っていたので、今回は3本分買っておきました。
ということで、ベンチに座って軽食を取りつつ少し休憩。
疲れた体を癒し、気を紛らわすためにYouTubeを少し見て、つかの間の休息を楽しみました。
因みにTwitterも更新しておきました。
12時ジャストで小口に到着!
タイムは4時間30分と、予想より2時間の大幅ロス。
それでいてもうすでにヘトヘト。
残り13km歩けるか分からないけど、なんとか頑張る(^o^;) pic.twitter.com/w9L5EzTLpJ— 雨宿り@時雨 (@amagure1111) September 25, 2021
そんなこんなで、時刻は12:15。
あまり長居しても体に疲れが溜まってしまうので、ここら辺で動き出しましょう。
ここの敷地内にお社があったので、『小雲取越』も走破できることを願って出発しました。
ここから再び13キロという旅路が待ち受けます。
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