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和歌山県、波乱万丈3泊4日の一人旅 ~1日で熊野古道大雲取越・小雲取越制覇編~

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小雲取越

さて、時刻は12:15。

ここから『小雲取越』がスタートします。

 

『大雲取越』よりも難易度は低いと聞きますが、実態としてはどうなのでしょうか。

やはり難易度は低いと言っても、キツいには変わりないのでしょうか。

 

何にしても、これから13キロの道のりを歩くことには変わりありません。

あまり疑っても仕方ないですから、ここまで『大雲取越』という熊野古道最大の難所である17キロのコースをクリアしたことを胸に秘め、それよりは全然短いんだとプラス思考で行きましょう。

小口~熊野古道まで

ということで、実際に足を進めていくわけですが、『大雲取越』の熊野古道出口から距離があったように、現在いる「小口自然の家」から熊野古道入口までは、それなりに距離があります。

私も最初は近くにあるものだと勘違いしておりましたが、実はそういうわけではないようです。

 

マップを確認してみますと、「小口自然の家」の横上にある橋のような道路を歩いていくようです。

実際に道路に出てみると、ガードレールに分かりやすく案内が書いてあります。

ガードレールの案内によれば、このまま真っすぐ行けば『小雲取越』入口まで行けるようです。

取り敢えず、それを信じて道路に沿って歩いていきます。

 

少し歩いていくと登り坂になっており、それを過ぎると短いトンネルがあり、トンネルを抜けると今度は下りの道になります。

とは言え、慣れとは恐ろしいもので、道路の登り下りでは何とも感じなくなっていました。

もちろん、そこまで急な坂でなかったというのもありますが、熊野古道の山道と比べれば本当に楽なものです。

 

しかして、意外と熊野古道までは距離がありますね。

ガードレールには800m先と書いてありましたが、その割には案外長く感じます。

そのため、本当にこの道で合っているのか心配になってきます。

 

そんな心配もつかの間、道路に沿って約10分ほど歩いていると、小和瀬渡し湯跡に着きました。

橋の横には、もの凄く分かりやすく「小雲取越」と書いてありました。

どうやら道は間違っていなかったようです。

 

ただ、熊野古道まではまだ少しあり、この橋を渡ると民家が見えてきます。

さらに歩いていくと、「熊野古道」と書かれた看板があり、その先には石段の階段が伸びています。

この階段を登っていくようですが、『大雲取越』出口のように民家の裏路地のような場所に通され、本当に入っていいのか少し臆します。

まあ、道は当たっておりますから、皆さんは気兼ねなく進んでいってください。

 

そして、階段を登ること約2分、小口からスタートとして約15分で熊野古道へ入ることができます。

時刻にして12:30。

ここからが本番となってきます。

 

熊野古道再び

ということで、熊野古道に入ったわけですが、なかなかに代り映えしない道です。

『大雲取越』の時と雰囲気が全く変わりません。

変わったところと言えば、熊野古道に入ってすぐに「尾切地蔵」というお地蔵様がいたくらいです。

お地蔵様の先には俳句が飾られていますが、それも『大雲取越』と変わりません。

相変わらず意味も分からないです……。

 

しかして、『大雲取越』よりも難易度が低いというのは本当のようです。

もちろん、登りや下りはありますし、写真のように足元が悪いので辛いには辛いのですが、平坦な道もそれなりに多く、大雲取越よりも高低差が少ないので思いのほか歩きやすいです。

その証拠に、熊野古道を歩き始めて約15分後の12:45時点での道はこのような道です。

ハイキングコースなんかによくありそうな道ですよね。

 

おまけにこの道を走っているランナーもいました。

それだけ「そこまで辛い道のりではない」ということでしょう。

ただ、流石の私もここを走りたくはないですけどね。

確かに大雲取越よりかは走りやすそうですが、流石にこの道を走るのは強いと思います。

 

なんて言っておりますが、熊野古道に入ってまだ15分ですから、この先何があるか分かりません。

どんどん進んでいきましょう。

 

桜茶屋跡

そんなことを思っていると、案の定、急な坂が見えてきました。

拒んでいても仕方がありません。

『越前峠』よりはマシだとプラスに考え、この急な坂をせっせと登っていきます。

 

しかしながら、なかなかに長い坂です。

登ること約25分、時刻は13:10。

スタートから約3キロ地点で休憩所が見えてきました。

休憩所まで登ってくると、ようやくそこは平地になっており少し安堵しました。

 

また、この休憩所のすぐ近くには『桜茶屋跡』という世界遺産もあります。

もちろん”跡”ですから、特段何もなかったですけれど。

 

そうして、しばらく平坦な道を歩いていると、その安堵は再び恐怖へ駆り立てられます。

急な登り坂の登場です。

ただ、やっぱり『越前峠』よりかは幾分マシだと思い進んでいきます。

 

すると、こんな俳句がありました。

ここには『どちらへも遠き山路やおそ桜』と書いてあります。

ここは『雲取越え』の中でも中間部分ですからね。

確かにどっちに進んでも遠いのには変わりないところです。

疲れているせいか、妙に納得してしまいました。

 

しかして、俳句で心が軽くなることもあるものです。

私の心には「どっちに進んでも同じなら行くしかない!」という感情が芽生えていました。

 

俳句で気合が入ったところで、急な坂も今度は下りに変わっていきます。

後から知ったのですが、実はここは『桜峠』と言われるところらしいです。

通りで急な坂が続いたわけです。

ただ、やはり『越前峠』の足元にも及びませんでした。

 

石堂茶屋跡

そんなこんなで、もう当然のように登り下りを繰り返すこと約30分。

スタートしてから約5.2キロ地点で時刻は13:40。

こちらも世界遺産『石堂茶屋跡』へ到着しました。

例のごとく何もない場所でしたが、近くには休憩所、俳句が立っていました。

もちろん、私は足を止めることなく先に進みます。

 

とは言いつつ、もう既に約5キロ達成、残すところ約7キロ強と言ったところです。

ここまでスムーズに来てはいても、疲れが溜まっているのが実状です。

私はここでも「ファイト!」と自信を鼓舞し始めました。

 

そうして5分ほど歩いていると、なぜだか目の前に石が積み上げられたお地蔵様を発見しました。

マップによると、「賽の河地蔵」と言うらしいです。

私はあまりの物珍しさ、凄さに驚きと疑問を感じて一瞬立ち止まりました。

正直、第一声が「なんだこれ!?」って感じでしたからね。

ここだけ雰囲気が少し違ったように感じます。

 

しかして、ここでボーっと立ち止まっていられるほど、悠長な状況ではありません。

私は止まった足を再び岐路へ戻しました。

 

百閒ぐら

そうして、自身を鼓舞しながら歩いていくこと約20分。

時刻は14:00、スタート地点から約7.3キロ地点。

とうとう私の求めていた場所に到着しました。

そう『百閒ぐら』です。

 

ここは熊野の山々を一望することができる、まさに熊野古道最大のベストスポットです。

そんな場所の様子がこちらです。

山々が薄く見え、こんなに高いところまで登ってきたのだと、本当に清々しい気持ちになります。

 

私はこの光景を目の当たりにし、あまりにも綺麗すぎて誇張なしで泣きました。

もちろん、こんな光景なんて、どこかの峠をドライブすれば見られる光景かもしれません。

しかし、この時の私にはこれまでにないほど綺麗な光景に映ったのです。

 

これまで歩いてきた約24キロ以上の本当に辛い道のりを、酸欠や水分不足の状態になりながらも必死に頑張って乗り越えてきた、そんな努力があったからこそ今の光景が見れた。

そう思うと、「本当に乗り越えてきて良かった」「辛い道のりも報われた」と思わずにはいられず、さらに泣き、極めつけはその場にへたり込んでしまったのです。

それだけ本当にここまでの道のりは辛かったのです。

 

今までこんな感情になったのは正直初めてでした。

そんな私は「ここまで連れてきてくれてありがとう」と神様にまで感謝するようになりました。

その感謝を表すべく、私は目の前の仏様にお賽銭をし、「ありがとう…ありがとう…」と感謝を告げました。

 

しかして、いつもでもここに居座ることはできません。

私は涙を拭い、深呼吸1つすると勢いよく立ち上がりました。

そして、仏様にもう一度「ありがとう」とお礼をし、最後まで見守ってれるよう頼んでその場を離れました。

 

ラスト6キロ

さて、『小雲取越』も残すところ6キロ弱という所まできました。

『百閒ぐら』を超えると、見どころはほとんどなく、ただひたすらゴールを目指すだけになります。

しかして、この6キロというのがなかなかに辛いのです。

 

ここからの道のりはほとんど下り坂で構成されています。

『大雲取越』でも言いましたが、山は登りより下りの方が圧倒的に辛いのです。

それは先ほども経験した通りの話です。

この下り坂をいかにストレスなく下りきるか、というのがラストの課題となります。

 

最初は『百閒ぐら』の景色を思い出しながら、良い気分で下っていました。

しかし、そんなのは一時的なものにすぎず、約1キロほどで気持ちが切れました。

 

今度は逆に音楽に意識を傾けることにしました。

これまでも音楽を聴いていたところではありましたが、意識は全て坂の方に集中しており、そのため「辛い」という感情が優先されていたような気がします。

そこで音楽に意識を傾けてしまえば、「辛い」という感情も緩和されるのではないかと考えました。

そうして、今までランダムで流していた楽曲を私が好きな楽曲に変更していくことで、意識を音楽の方に寄せていくことに成功しました。

 

しかし、山道を下るのに最適な曲というと、どうしてもハイテンションな曲に限られます。

その結果、同じような曲ばかりが続いてそのうちに飽きがきます。

ということで、これも約1キロしか持ちませんでした。

 

残すところ約4キロ。

私は自棄になって、無理やりにでも音楽に意識を持っていこうとします。

そうして編み出したのが、大声で気持ち良く歌う、ということです。

大声で気持ち良く歌ってしまえば、坂に意識が行くまでもなくなると踏んだのです。

そして、やってみるとこれが案外成功。

 

しかも、500m区間ごとにちょうど1曲分、という法則を見つけてしまったのです。

ということは、あと8曲も歌えばゴールにたどり着くわけです。

8曲なんて、私の歌枠配信で歌う曲数よりも少ないです。

 

これで余裕だとプラスに踏んだ私は、次々に好きな歌を歌い続け、気づけばあっという間に残り2キロ地点です。

約2キロまでくればこっちのものです。

ゴールした時のことをイメージし、さらに好きな歌を歌う。

頭の中は何だか楽しくなっていました。

 

そして、残り1キロ地点。

時刻は15:00、スタートから約2時間45分が経過していました。

 

しかし、もう既に約29キロも歩いた私に怖いものなどありませんでした。

頭の中はゴールした時のことで頭はいっぱいです。

とにかく早くゴールしたい。

その思いが私の心を急がせます。

 

ゴール

そして約5分後の15:05。

とうとう熊野古道を出ることができました。

 

後はゴール地点「請川バス停」に向かうだけです。

私は残る数百メートルを疲れた体、足を引きずりながら急いで歩きました。

 

しかし、約29キロ歩いた足は、まるで錘をつけられたかのように重く、なかなかゴールにたどり着きません。

それがもどかしくて、もどかしくて、余計に気持ちを焦らせます。

 

その気持ちの焦りもあり、上の下り坂を下り終えると左右に道路が広がるのですが、本来左に行く道を右に行ってしまい、余計に歩くことになってしまいました。

皆さんはこんなことのないよう、お気を付けください。

 

とまあ、少しのハプニングがありましたが、物理的に重い足取りを前へ前へと進めること約10分。

ついに『小雲取越』、もとい『雲取越え』の最終ゴール「請川バス停」へ着きました!!!

時刻は15:15、小口からのスタートから3時間ジャストでゴールとなりました!

因みに、その時の心境をTwitterでこう呟いています。

 

何はともあれ、『小雲取越』も無事走破し、『雲取越え』を見事1日で達成しました!!

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